桃染蝶
「ああ、カヤコ
 おまえ、知ってたのか?」

声のトーンが低くなる、正二。

「うん、偶然にね
 
 世間って、ほんと狭い・・・
 
 ねえ、メイちゃんだなんて
 馴れ馴れしく呼んでいいの?

 親分さんの恋人なのに」

「ああ、そう言われてみれば
 そうだな・・・

 なあ、カヤコ
 聞いてもいいか?」 

「何?」

戸惑いながら、正二は聞く。

「おまえはその、もう
 アニキの事はいいのか?」
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