桃染蝶
グラスをテーブルにそっと
置く花夜子。

「いいも、何もないわよ
 
 私達は、兄と妹 
 
 好きでもどうにもならない
 
 イチヤにも特定の人ができた
 みたいだし、諦められる」

きっと、諦められるはず・・・

お酒を飲み干す、正二。

「だよなぁ
 
 おまえは美人だから
 すぐにいい男が現れるさ」

「男ならいるよ
 
 結婚でもしちゃおう
 かなぁ?
 
 な(んちゃって)・・・」

冗談で言ったはずの花夜子
の言葉に、動揺した正二の
言葉が被る。
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