藤井先輩と私。
チーン。

エレベーターが開く。


藤井先輩はポケットから鍵とみられるカードを取り出すと、先輩の家らしい扉の前に立ち、キーをとおした。


ピピーと音を立てて、ドアがガシャンと開く。


「我が家へようこそ。陽依」

先輩がドアを開けてくれいていて、私が最初に中に入ることになった。

緊張するなぁ。

お父さん以外の男の人の部屋に入るの初めてだし。


玄関は綺麗に片づけられていて、奥の壁には、どっかの有名な画家がかいたとおもわれる絵画が飾ってあった。


「おじゃまします」

私がそう言って入ろうとすると、


「私が先や!」


と、“アンナ”さんが割り込んで中に入ってしまった。


「おい!杏奈!なにしてんねん」





このとき、私の心の中に新たな疑問が浮かび上がった。


……本当にこの2人は付き合ってるのかな。

なんか違う気がする。



もっと別の…。


なんだろう。


恋人同士の、ユカと委員長のような空気じゃない。


分かんないけど、そんな気持ちになった。
 





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