藤井先輩と私。
○△町の駅ホームに降り立つと、
「ありがとう、もう大丈夫だよ。ここからは地図を見て行くから」
とジェントルマンは笑った。
……地図って、世界地図ですか?
一度乗りかかった船。
最後までお供しようじゃないの!
「あの、目的地とか教えて下さったら、そこまで案内しますけど…」
「それは悪いよ。……でも、君がそこまで言うなら…連れてってもらっていいかな?」
申し訳なさそうに、ジェントルマンは笑う。
「ご案内します」
ジェントルマンは、右のポケットから白いメモ帳らしきものを取り出すと、2,3ページめくると、私に見せた。
「ここなんだが…」
その紙には、
≪○△町、マンション:クローバーシティ、3001号≫
とかかれていた。
なんて偶然なんだろう。
ここって藤井先輩の家と一緒。
「私ここ知ってます!」
「そうかい?」
「はい!ここからそう遠くないですよ。このまえ藤井先輩と徒歩であるいて駅まで来ましたし…」
「君!今なんと?」
突然、ジェントルマンは私の話を遮った。
「はい?」
「……いや、なんでもない」
…どうしたんだろう。
ま、いいか。
「さ、行きましょう」
「あぁ」
ジェントルマンと私は、クローバーシティマンションへ歩き始めた。