藤井先輩と私。
「家族を壊した…?」



私は思わずつぶやいていた。



「あっ…違うんです!なんでもないんです!」


すぐに口を抑えて否定するけれど、後の祭り。



「……陽依」



先輩が私を見て切なげに呼んだ。


「はい?」



「俺ってさ、卑怯なんよ。全然…敬語使われるような存在やない」


どうしてそんなこと…。

「先輩は先輩です!卑怯なんかじゃないです」


「今から俺の昔話するけど、聞いてくれるか?…聞いて、それで俺が卑怯者かどうか決めて」


先輩が標準語をしゃべってる。

大阪弁を話さない先輩は妙に新鮮だった。


隣のパパさんを盗み見ると、何か言いたげな顔をしていた。


「聞いていいんですか?私なんかが」




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