藤井先輩と私。
 




それから3時になると、母さんは俺に妹の子守をたのむと、「買い物に行って来るね」と家を出て行った。

「おにぃー、あしょぼー」

杏奈と一緒に、つみきで遊んでいた時、母さんは買い物ではなく、病院に行っていた。

このときの俺は、幼くて母さんのその変化に気付いてやることができなかったんだ。























――――病院




「…あの…先生。私はあと…どれぐらい」



「あなたの癌は…もう多数のリンパ節へ転移しています。ここまでくると…治療は難しい…」


「はっきり言ってください。私はあとどのぐらいの時間が残されているのですか?」



「…………もって……3ヶ月……。もう少し発見が早かったら…」



「………そう…ですか…」


















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