藤井先輩と私。
りゅっ留学生!?

中国人!?イギリス人!?アメリカ人?……もしかして宇宙人!?


「陽依、アンタの脳内のおバカな声だだ漏れしてる。恥ずかしいから黙ってて」

「へっ」


私はあわてて口を抑えた。


「橋宮さん、残念だけど宇宙人は留学して来ないよ」

「あはは」


「で、男なの?女なの?ハーフなの?どこの人?」

「柚果も、いっぺんには答えられないよ…えーと、確か女性だったよ。名前のニュアンス的に」

「名前は?」

「うーん。ニュアンスは覚えてるんだけど、忘れちゃったよ」

ユカはチェっと舌打ちをする。
おいおい、彼氏の前だぞ。お行儀よく!


「苗字が日本語っぽかったからたぶんハーフだね。だから日本語は少しくらいは話せるんじゃないかな。あと、どこの人かはわからなかった。まぁHRで先生から詳しく説明があると思うから」

「そう」

でも、よりによって留学初日が登校日なんだろう。

午前中で学校終わるのに。



キーンコーンカーンコーン



HRの予鈴だ。


席に着かなきゃ。



チャイムとともに、担任が教室に入ってくる。

クラスのみんなは期待のまなざしで、無表情の担任の顔を凝視した。



「委員長、号令」


「はっ…はい!」

あわてて席を立つ委員長。


「起立、気をつけ。おはようございます」

「「「おはようございます」」」


  

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