藤井先輩と私。
そーっと釣り針をヨーヨーから伸びているゴムの輪の中に通していく。
「よっし、ここからよー見よくんやで?俺の華麗なヨーヨーすくいテクニック見せたるから」
先輩はヨーヨーから目を離さずにそう言うと、ゆっくりと腕を持ち上げる。
そーっと、そーっと。
それはもうゆっくりすぎるほどゆっくりと。
ビニールプールの中で横になったままのヨーヨーが徐々に上を向き始めたそのとき。
「ユータ!!」
「え!?」
ブチッ
「あー!!」
先輩の悔しそうな声が響いた。
けど、そんな先輩の声よりも、私は先輩の名前を呼ぶ声の方が気になった。
あの呼び方って、もしかして…。
私の予想は見事的中。
いつのまにか先輩の背後に露出の激しい格好をしたジュディが立っていた。
「ハーイ!ユータそしてヒヨリ!こんなところで会えるなんて運命デース」
もうすでにいろいろと出店を回ったのか、ジュディの左手にはたくさんの袋がぶら下がっている。