藤井先輩と私。
急いで俺は、目元をふいて涙を悟られないようにしてから、女の子を解放した。
なんだか少し泣いてみると、心が軽くなった気がする。
俺は、あの女の子に救われたんだ。
それから、日が傾いてきたので、俺と女の子は手を振って別れた。
またねって。
あれから、すぐに親父の仕事場がある大阪に引っ越すことになって、もう会う事はなかった。
大阪で俺は何度もあの子の夢を見た。
夕陽の傾く道で二人楽しく話をしている夢を。
そして、分かったんだ。
俺はその子が好きだったんだって。
初恋だったんだって。
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って、思い出に浸ってる場合ちゃうやん。
図書館に行かな。
少しだけ歩いて、俺は立ち止まり、もう一度あの子と出会った道を見つめた。
「あの子…今どうしてるんやろな」
3秒ぐらい見て、前を向く。
きっと、幸せでおるんやろな。