藤井先輩と私。
「藤井先輩!」
目の前に立っていたのは、藤井先輩だった。
先輩はぶつかったのが私だと分からなかったみたいで、自分の名前を呼ぶ私に驚いているみたいだった。
「うぉええ!」
変な声を出して先輩は、動かなくなった。
へんじがない、ただのしかばねのようだ。
あ、ちがった。
「ちょっと通してくれない!?」
自動ドアの入り口で突っ立っていた私たちは、やっぱり邪魔だったようで、ホームセンターでショッピングをすませたマダムが怒っている。
「とりあえず、先輩退きましょ」
微動だにしなくなった先輩の服の裾を引っ張り、外に展示してある商品たちの方へ移動する。