藤井先輩と私。
「え?」
「先輩あのとき…『嫌いじゃない』って私に言いましたよね。初対面だったんで、私最初変な人だなって思ってたんです」
そこまでいって私は口を抑えた。
変な人って言っちゃった。
失言だぁ!!
「くくくっぷハハハハハハッ」
先輩は顔をくしゃくしゃにして笑った。
「変な人って思われてもしゃーないな…。あのときはあれが精一杯やったし」
え?どういうこと?
「一応、アレはおれのあの時の精いっぱいの気持ちの伝え方やったんや。つまり告白」
こっ告白!?
ということは…
「あのときから私のことを…?」
私、あの日まで先輩の名前も顔すら知らなかったのに。
「俺はあのときが初対面ちゃうよ。…あれは4月の後半、俺が陽依に初めて会ったのはここや」
先輩はそう言って、私たちが座っている白いベンチを指差した。