藤井先輩と私。
「ここ?ですか?」
「あぁ、1年のときにこの白いベンチをここに置いてて…昼休みに居眠りするのが習慣やった」
そうだ。
私も4月下旬ごろだったこの場所見つけたの。
座り心地があんまりいいもんだから、いつも昼休みが終わるまで寝てたなぁ…。
「それである日、いつものように寝に来たら…先客がおった」
まさか…
「それが私ですか?」
「そうや。それで起こしてどかそう思て、近づいたら…気持ち良さそうに寝てて、それがあんまり可愛くて…惚れた」
先輩、私の寝顔見たんですか!!
は、恥ずかしい!
変な寝言とかいってなかったかなぁ。
うそー。
「それから俺がベンチに寝に行くたび、陽依が寝てるから、毎回声かけようって思ったんやけど…なかなかできんくてそれであの日、教室に残ってた陽依に遠まわしに伝えたんや気持ちを」
そうだったんだ。
先輩ずっと私のことを想っててくれてたなんて、本当に夢みたい。
うれしくてうれしくて涙でそう。
「先輩…」
先輩は、私をみつめた。
じっと、熱いまなざしで。
「陽依、俺と付き合ってくれるか?」
「…っはい!」
そしてオレンジ色の光の中、私と先輩の影は一つになった。