藤井先輩と私。

弁当のあまり具をテーブルに置いて、レトルトのお味噌汁を作って朝食をいただく。


麦茶を口に運ぼうとした所で、



「ひぃよおぉりぃい…(陽依)」



お父さんの奇声がリビングに轟いた。


涙と鼻水を流しながら、私に抱きついてくるお父さん。



きもちわるいー。


「お父さん!鼻水!服汚れる!」


慌てて突き放すと、


「服汚れたら陽依はデート行かなくて済む」


となお一層私を強く抱き締めた。


「だから!デートじゃないってば」


「お父さん許さんぞ!陽依には彼氏なんて必要ない!」



「彼氏なんていないってばぁ…ユカと遊びに行くだけなの」


お父さんはやっと私を解放した。


「ほ゛ん゛と゛に゛?」

鼻声で言うお父さん。


「本当!」



本当は、藤井先輩と梶瀬くんも一緒だけどね。


「さっ、あなた仕事に遅れちゃうわ」


タイミングを見計らって、お母さんはお父さんを席につかせた。

過保護というか、深すぎる愛情というか…
困ったことにうちの父は、最強の親バカなんです。



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