Truth


「突然来てすみません。今日は先生にお願いがあってきたんです。先生は俺達の住所録とか持ってますか?必要なんです。今すぐに。」

信二が低いテーブルに身を乗りだしながら聞いた。

「ごめんなぁ…。生徒達の個人情報は卒業から4年後には破棄するんだ。だが、今でも年賀状を寄越してくる奴や、同窓会で教えてくれた奴のだったら知っているが。」


「北澤…北澤敬子の住所は?先生、ご存知ないですか?」

春人の言葉に先生は顔をしかめた。

「北澤か…。事件当時に線香を上げに行った事はあった。だが教師を辞めた今では、だいぶご無沙汰でな。」

「住所がわからずとも、場所は?場所なら覚えてるでしょう?」

さらに信二が詰め寄る。

「何に使うんだが知らないが、同窓会を開いてくれたお前達には恩がある。うろ覚えだがな、それと1度しか言わないぞ。」

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