Truth
「よっ春人!」
「おぅ信二!」
会社のエントランスにあるエレベーターホールで2人は何故か毎日会う。
顔を見合わせたらハイタッチを交わす仲。このクルクルパーマの(天然らしい)春人という男は、信二と小学校からの腐れ縁だった。
仕事の合間に、2人は毎日コーヒーブレイクをかかさずに取る
。ガラス張りの壁は、会社周辺が一望でき、いつもココで2人は最近の若者はどうだとか、昨日のテルビは面白かったとかくだらない事に花を咲かせていた。
しかし今日は違った。
「…なぁ、覚えてるか?」
「何だよ突然、深刻な顔して!せっかくの休み時間なんだから、やめやめっ」
信二はふざけて顔の前で手を振った。
すると、その手を強引に春人は掴み、
「聞け。」
ただ一言。冷たく言い放った。
「お前17年前の北澤事件の事を覚えてるか?」