RedZone
放課後、勉強しようと空いている自習室を探して廊下を歩いていると見慣れたメンツを発見した。
特にためらいなく声をかける。
「陸、アキラ!」
「ん?ああ、あやめ。おつかれ」
「もう終わったんだ?早いね」
「うん。二人は何してるの?」
「廊下掃除。マジ俺様お疲れ〜って感じ」
「あはは、だねー」
疲れるほど真面目にやっているようには全く見えないけど、気持ちはわかる。
そもそもアキラに真面目に廊下掃除なんて、求めるだけ無駄なレベルだ。
「アキラは何もしてないけどね」
「りっくん、意外と切れ味鋭いね。でもわかってる、愛の鞭だって!」
「あー、うん。そうそう、そうなんだよ!だからちりとりしてほしいな?」
「んー、もう一声」
「ちりとりしてくんない?」
「おしいっ!」
「アキラ、しろ」
「さっすがりっくん、わかってるね〜」
何に満足したのか、アキラはちりとりを取りに行った。
今の流れ何なんだろう。
全然ついていけなかった。
この二人は特別仲がいいわけではないみたいだけど、不思議と気が合うらしい。
二人にしかわからない意思の疎通があるのか、会話のテンションが謎すぎる。
にこにこと笑っている陸を見るわたしの目は、点になっていたことだろう。