RedZone
人の波が交わる巨大な駅前。
広場のようなそこは週末になると路上ライブをなどパフォーマンスをする者たちで賑わっている。
中でもひときわ目立っているバンド、RedZone。
激しいロックサウンドに伸びのいいセクシーな声、そして美形揃いのメンバー。
まだ粗削りではあるが彼らに魅了される人は少なくない。
俺もその一人だ。
今日も彼らを囲む人だかりが、黄色い声援をあげていた。
男は少ない。
きっとこの輪に入りずらいというのもあるのだろう。
それに歌詞なんかもセンスは抜群だがどちらかというと女性向けだ。
でも、それでも俺は。
ライブが終わって、ファンがぞろぞろと散っていったあと。
意を決して、口を開いた。
「おれを、入れてくれませんか」