RedZone
涼のドラムから派手なギターが一気に入って、Aメロはキーボとドラムで大人な雰囲気。
そこからサビまでだんだん激しくなり、勢いよく走りぬけていく。
キーボードがコテコテのロックにいいスパイスになっていて、少しセクシーな雰囲気を醸し出していた。
演奏が終わりすかさず拍手をすると、みんな誇らしげに笑っていた。
「すごいすごい!すっごくかっこよかった!なんていうか、いつもとはちょっと違う感じだね!」
「まあ、マサシが入って音の幅が広がったからね」
「うんうん、いいよいいよ!みんなすごい!」
「ありがと」
「俺の美声が加わればもっとよくなるぞ。ってことで、早く歌詞完成させろよ」
「うん、がんばるね!」
はるかはギターとして参加していたけど、普段はそれプラス歌だからか不完全燃焼みたいだ。
弾いてる最中も暇を持て余している様子だった。
「あやめ、べた褒めはそれくらいにして。アキラ、とばしすぎだったから。」
「あちゃー、そだった?」
「とぼけんな。あと陸16小節目入るタイミングずれてた」
「16小節目?どこだっけ?」
「B入るちょい前。」
「う、あそこね。だって複雑でわかりにくいんだもん」
「だもんじゃない。甘えんな。」
ぶーぶーと口を尖らす陸を無視して、それぞれに注意点を述べる涼。
涼はいつも弾き終わったあと、こうしてメンバーみんなにアドバイスをする。
なかなか痛いところを突くので最初は言い争いになったこともあったらしい。
しかしそこまで正確な涼の耳をわたしは尊敬しているし、みんなもそうだと思う。
ドラムだけじゃない。彼の存在はRedZoneにはかかせないのだ。