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その日の夜


私はベッドに顔を押し付けて泣いた。



「ふっ…うぅっ…」



胸が苦しいよ‥。



呼吸ができないくらい…。



晃平ヤダよ…。



行かないで…。




ずっとそばにいてよ…。



「うっ…ひっく…」



コンコン


「…。」


私はゆっくり顔だけ上げてドアを見た。



ドアはゆっくり開き、お姉ちゃんが顔を覗かせた。


「丗那‥どうして泣いてんの?」


「…。」



私の涙は止まることを知らない。



「おねえちゃ‥うぅっ…」


お姉ちゃんは私のそばまで来てベッドに座った。



「ん。聞いたげるから言ってみな?」



「‥晃平がっ…」



言葉にしようとすればするほど苦しくなる。



「うん。」



お姉ちゃんは私の頭を撫でてくれる。



「アメリカっ…ひっく…行っちゃうっ…。」



「…。」


お姉ちゃんは天井を仰いだ。
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