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「ひっく‥行って…ほしくっ…ないっ…」



晃平のそばにいるだけでよかったのにっ‥。



一緒に笑ってられるだけで幸せだったのにっ‥。



「丗那、ちゃんと気持ちを伝えな。」



「っ…。」



「後悔したくないなら、気持ちを伝えな。」


お姉ちゃんは優しく微笑んで私を見ていた。



後悔したくないなら…。



「ふぇっ…うぅっ…」


さよならしたくないよっ…。



でもこのままも嫌。



気持ちを伝えないまま離れ離れになるのはもっと嫌。




「丗那、告白だって思うから言えないんだよ。」



「え‥?」



「ただ晃平くんに素直な気持ちを伝えるだけ。それだけでいいんだよ?」



素直な気持ち‥。



「気持ちはね、言わないと伝わらないんだよ?みんなエスパーじゃないんだから。」



「フッ。エスパーって‥。」



「ん。笑った。明日頑張りな。」



そう言ってお姉ちゃんは微笑んで部屋を出て行った。




ありがとう‥お姉ちゃん。



何か言えそうな気がする。



決めた。



もう逃げない。



現実逃避はもうしたくない。
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