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キーンコーンカーンコーン


私は立ち上がり、自分のクラスに戻った。



晃平‥。



それからの授業は頭に入ってない。



ずっと晃平のことばかり。



晃平との出会いは美月のおかげだった。



ううん、あの時和華と有加が晃平に近づいてなかったら、友達になれてなかったかも。



あの時私が美月と出会って。




それから晃平とも仲良くなって。



過去の出来事が走馬灯のように蘇る。



私は授業中何度泣くのを我慢しただろう。



晃平と過ごした合宿の夜も、みんなを避けてた夏休みも晃平は私の心をドキドキさせた。






いつも私のお弁当の唐揚げを食べて。




“ばぁか。”




あなたの口癖も、微笑む顔も、先輩にキレたあの顔も、全部全部好き。





私は少しすっきりしていた。




気持ちを伝えるってこんなに簡単なことなのに。



私はいつも逃げてばかり。



守ってるものは自分だけだった。
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