nINe
――――――――‥

私はいつものように聞き込みをした。



でも何度聞いても答えは変わらない。



どうして?



晃平が捕まっててもみんな平気なの?




おかしいよ。



そんなのファンじゃない。



ドン!!!



考え事をしながら歩いていたら誰かとぶつかった。



「ごめんなさい!」


顔を上げると、今井くんが立っていた。



「あ、こっちこそ、ごめん///」


今井くんは顔を赤くして目を逸らした。



そしてそのまま歩いて行ってしまった。




私は教室に戻ろうと歩き出したとき、春真が私の前に立ちはだかった。




「春真?」


「あいつ誰?」


春真は私の後ろ、今井くんの方を見て言った。



「今井くん。同じ学年だよ?」


「丗那何で知ってんの?」


「前に告白されたから。」


「…。」


春真は私の後ろを見て何か考えていた。



「あんな奴居たっけ?」


ボソッと言って歩き出す春真。



春真‥何気に失礼だよ…。



「あ、待って!」


私は春真を追った。







放課後


「丗那、ちょっと付き合って。」



春真が私の手を引く。



「どこ行くの??」


春真は何も言わない。



階段を降り、階段の下に隠れるように立つ春真。



「春真?」


春真は私の方を向いて、人差し指を口に当てた。



黙ってろと?



私は不思議に思いながら春真の隣に大人しく立った。




誰かを待ってるのかな?



私は周りをキョロキョロした。




しばらくすると、春真は私の肩に手を置いた。



「行くぞ。」


「え?うん。」



私は春真について行く。
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