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「はい‥。」


そのとき、今井くんが家から出て来た。


私たちは咄嗟に抱き合った。



「ちょっ春真っ///」


「黙ってろ。」



電柱の陰とは言え、今井くんからは見える。




顔はわからなくても、S学園の生徒ってことくらいはわかるだろう。




「行った。俺らも行くぞ。」



再び春真が私の手を引く。





住宅街を通り抜け、商店街の方へ向かってる。



「どこ行くんだろ?」


「さぁな。」



今井くんは私服。



見失ったら分かりずらい。




私たちは探偵にでもなったみたいだ。




「丗那、置いてくぞ。」


「あー待ってよっ。」



私は春真の背中に隠れ、ついて行く。



そして今井くんは何度も角を曲がり…。



一つのビルに入って行った。



「あのビルって廃墟じゃないの?」


「ん。そのはず。中で何してんだ?」
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