colorless
「…っ…んん…っ」


もうだめ…、という意思を伝える為に、橋本くんの背中にしがみつく。



そのせいで、空いた横腹を彼の大きな手が、下から上にあがる。



「…んっ、ふっ…」



(も、無理…)



足から力が抜けてしまったせいで、床に座り込んでしまうが、彼がそれを追いかけ、さらに押し倒しながら唇を会わせてくる。





軽く、下唇を噛まれたり、上顎のところを舐められたり。



そろそろ、気絶するんじゃないか、と心配になった時になって、ようやく唇が離れた。






「は、しも、とくん…?」


「ん?」


先程までの表情とは違い、にこやかな笑みすら浮かべている。



「玉木さん、ごちそうさま」


額をこつん、と合わせて、彼が猫のように目を細める。



(~うぅっ!今、今のって…!)



キス、した。



橋本くんと。



(は、は、恥ずかしい…!)



「…ねぇ、どこまで赤いのか脱がしてもいい?」



恥ずかしくて、目を潤ませる私の制服のリボンをひらひらとさせる。



「…だ、駄目…!」


慌てて、橋本くんの手から、リボンを取り返す。



「…まぁ、また今度ね」



ついでに、橋本くんはちゅうっと頬に、キスを一つ。



(…って!なんでまたキスするの…!)



「ね、玉木さん。あの絵、何を思って描いたの?」



さらさらと、床に散らばる髪の毛で遊びながら、彼が問いかけてくる。



(…それ、答えたら、告白になっちゃうよ…)



どうしよう。


せめて、明日。



絵の具を綺麗に落としてから、と考えていたのに、床に倒れたせいで、多分髪の毛まで絵の具で汚れてしまった。



「教えて?」



ゆっくりと頭を撫でられて、もう、いいやって思う。
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