colorless
だって、もう前のような、穏やかでのんびりとした距離は保てない。



だから、いいやって思った。







「橋本くんが、好きだって想いながら、描いたんだよ…」










じわり、と涙が浮かぶ。



言えてよかった。


でも、同じくらい言いたくなかった。




だって、橋本くん。



辛そうな顔をしているから。



きっと、好きな人のことを思い出しているんだと思う。




続く言葉は、『ごめん』かな?



…聞きたくないな。



でも、聞かなきゃ、駄目だよね。



橋本くん。





ごめんね。



「…そう」



言葉は、とても淡々としているのに、橋本くんの表情が、嬉しそうに緩む。



「ねぇ、もう一度言って?」



そう、お願いをしてくるのに、橋本くんが唇を塞いでしまう。





「…玉木さん、覚えていて?













俺も、好きだよ」




多分、二度と言ってあげないから。



そう言って、優しく笑うから。



あの、綺麗な無色の表情をくれるから。





















それだけで、伝わってきた。





















―END―
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