CL
言い出したら最後、よほどの理由がない限りなかったことにはしない性分である会長。
うっかり口が滑って「少年、好きだよ!」とか言ってなかったことにできない感じになってくれたらもっといいです。すみませんなんでもないです。
会長は新しいポッキーの袋を開けて、一本取り出してからテーブルに頬杖をつく。
右手に持ったポッキーをこちらに向けてくるくると回す。トンボを捕まえる時みたいな。
会長手遅れです。俺もう捕まってるんで。
「ほら、そこのキミ、わたしはとっても暇なのだよ。早く暇潰ししてくれないとこのポッキーでその目潰しちゃうのだよ」
「殺人鬼並みに恐ろしいですねしかも冗談に聞こえない!」
「わたしはいつでも本気なのだよ少年」
「その本気を生徒会の仕事に回してくれたら俺はとっても幸せです」
「……ほほう」
「嘘ですごめんなさい」
会長専用のふっかふかの大きな椅子にすっぽりと隠れてしまう程度には小さい彼女は、けれどその威圧感はハンパないと思う。
今会長が「ほほう」と言った直後にドス黒いオーラが見えたのは幻覚だと思いたい。
でも困った。面白い事ってなんだ。
そもそも会長は笑いどころが他とズレているようなのだ。どこで笑うのか予測不可能。そんな彼女の笑いどころなどさすがの俺でも把握し切れていない。
けどまあ、面白い事っていうのは、つまり暇潰しになるようなことができればいいってことなんだろう。
で、俺が真っ先に目を付けたのが、会長の持ってる、チョコのついた細長いアレ。
アナタもワタシも「ポッキー!」っていう、アレ。
おっと口に出してしまった。