CL




「……むむ?ポッキー?」


ポキッと耳触りのいい音を立てて、ポッキーを食していた会長が、こちらを見ながら眉をひそめる。


「そうです、ポッキー」

「キミ、ポッキーで何か面白い事でもできるのかね」

「いえできませんけど」

「…一体どういうことなのだ」

「えーっと、会長、ポッキーゲームって知ってます?」

「むむ!?ゲーム!?」


どうやらこの会長、“ゲーム”という単語だけに釣られたらしい。

ポッキーゲームという言葉自体には反応しなかった。つまり知らないってことでオーケーだろう。

実はかなりの純粋無垢な子なんじゃないかってくらい無知みたいで、会長はすでにポッキーゲームという言葉に目をキラキラさせている。

会長のこんな顔はとても貴重だ。記憶のフィルムに焼き付けておこう。


「ですです、ゲームです」

「そ、それはどんなゲームなのだ!?」

「えっと、会長それ、今持ってるポッキー、口に咥えてください」

「……ふむ」


会長はさっき自分がポキッと先だけ食べたポッキーを、特に気にする風もなく、素直に口に咥えた。


「で、手を離してそのまま」

「……むぐ?」





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