CL




首を傾げながらポッキーを支えていた手をテーブルの上に下ろす会長。

それを見届けてから、俺は座っていた椅子から立ち上がる。

会長のすぐ傍まで行って、こちらを顔だけで見上げる会長がちょこんと座る大きな椅子、その背を掴み、くるりとこちらを向かせた。

まったく意味がわからないようで、会長は俺を見上げたままぱちくりと瞬き。かわいすぎるどうしよう。

このまま“食って”はいけないのだと理性を保ちつつ、俺はスッと腰をかがめる。

そして彼女の口に咥えられているポッキーの反対側を、パクッと。


「うむ!?」


案の定、会長はかなり驚いたようだ。

でもポッキーを口から離すという選択肢はないようで。否、そこまで考えが行き届いていないのかもしれない。

会長はポッキーを咥えたまま慌てている様子。っていうか慌ててる。

ポッキーが折れそうだったので、とりあえず俺が離れることに。


「むむっ、うむむ!?」

「あー、はい。ポッキーゲームっていうのは、ポッキーを2人で両端から徐々に食べていくっていうゲームなんです」

「うむ!?」

「最終的にどうなるかは会長もおわかりかと」

「むむむむ!?」

「……あ、別にそこまで行かなくて途中で折ってもいいんですけどね。でもそれは折った方が負けですし、食べ進めないのも負けになります」

「……むむ」


あ、なんかものすごい様子変わった。




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