CL
気が付けば、間にあったポッキーという名の壁は消えていて。
代わりに俺が食べていたのは、彼女の唇。
その隙間を埋めたのは、果たしてどちらか。
ゆっくりと離れる。自然に見つめる。
彼女の顔は面白いくらい真っ赤だった。
前髪越しに額をぶつけ、至近距離で見下ろすと、更に赤くなって可愛いったらないのだ。
「……もしかして会長、俺のこと好きだったんですか?」
「…ちょ、直球で聞くでないよ少年…!」
「え、マジですか?これ夢落ちとかそういうんじゃないですよね?」
「なんだねキミはわたしに抓ってほしいのかね」
「ちょ、いだだだだ痛いってすんません会長マジ痛い現実でした認めます認めますから離して痛い!!」
さっきまでかーなーりー照れていたというのに終わればこの仕打ち。さすが会長。容赦ない。
割と本気で引きちぎる勢いで俺の頬を抓ってきた会長は、その手を離すと何故か「むう」とむくれた。
そのままそっぽを向くのが死ぬほど可愛かったので思い切り抱きしめたい衝動に駆られたけどなんとか耐えた。
今の勢いで抱き締めたらこの子壊れる。だってかなり細いし。
なので代わりに、膨れた頬を人差し指でツンとつついた。睨まれました。
「え、なんでむくれてるんですか両想いだったのが嫌なんですかそれちょっといやかなり俺泣きますけどいいでしょうか」
「…少年。キミは何故そこで自己完結するのかね。わたしは何も言ってないではないか」
「じゃあ言ってください」
「…………」
「言ってください」
「…………」
「……ちょっと泣いてきます」
「違うと言っているではないかーっ!」