CL
うわーっといきなり泣き始める会長に今度は俺がビビった。
下から会長を見上げる。彼女は長い睫毛を震わせて、大粒の涙を流しながら泣いていた。
泣き顔もストライク。っていうかたぶん、いや絶対、どれも全部好きだと思う。
会長なら全部俺のストライク。
「た、食べるつもりはなかったのだっ、でもその、わたしは目の前にチョコがあったら、どうしても食べてしまいたくなって、そのっ……ごめんなさいなのだーっ!」
「……あー、はい。知ってます。会長がどれくらいチョコが好きかっていうのは痛いくらい知ってます。だから泣かないでください、可愛いから」
「キサマーっ!」
「でもかいちょーは、笑った顔がいちっばん可愛いですけどね」
笑いながらそう言ったら、会長はえぐえぐ言いながらも涙を拭った。
拭ってしまってから、赤くなった瞳で俺を見下ろした。
「……ちょ、チョコは食べてしまったから、他に何か、わたしもキミにあげたいのだ…」
「ほか、ですか」
「だ、だって、他の子からたくさんチョコを貰っているのに、りょ、両想い…のっ、わたしがあげてないのは嫌なのだっ!」
「まあ俺的には会長が彼女になってくれたってだけでも十分ステキなプレゼントなんですけどね。あと両想いって自信持って言ってください会長の気持ちが気の迷いじゃなかったら間違いないんで」
「気の迷いなんかじゃないのだっ!……じ、じゃあ、ポッキーをあげるのだ…」