CL

→After Story





まず朝っぱらから『牛乳を買ってきてくれたまえ』と会長から電話が来たところからおかしいとは思っていた。

いや俺としては朝から会長の可愛い声が聞けたので大変目覚めもよかったのだがしかし何故牛乳なんだと。

まあ会長の頼みとあれば買っていくしか他なかったんだけど。

なかったんだけど。


「…………」

「おはよう少年。ご苦労であった」

「…………」

「む?牛乳買ってきたのだろう?」

「……えぇ、まあ」

「うむ!よろしい!」


そう言って笑顔になる会長は今日もすこぶる可愛いですねホント朝日も霞むくらいには。
が、しかし今の俺の一番の注目所は会長ではなかった。

今日も今日とて生徒会室のふっかふかの椅子に座っている会長が抱っこしている黒い生き物が本日一番のチェックポイントだった。


「……えーっと、会長」

「む?なんだね、少年」

「そのー抱っこしてる黒い生き物はなんなんですかね?」

「見てわかるだろう。猫だよ!」

「わけがわからない!」


満面の笑みで答える会長の言葉に嘘はない。

今、会長の細い腕の中に居るのは、紛れもなく、黒猫だったから。




< 111 / 192 >

この作品をシェア

pagetop