CL
「……はい、あっためてきましたよ」
言いながら、会長の座る椅子の傍にぬるいくらいの牛乳が入った皿を置く。
会長はそれを見下ろして、パチクリと瞬きをした。
そのなんか意味が分かってない感じの瞬きっていうのがまたかわいいわけで。
「……少年よ」
「なんでしょうか」
「…本当にあっためて来たのか牛乳」
「え、あっためてきましたよ?」
「嘘なのだ!」
「え、ひどくね!?」
「だって湯気が出ていないのだ!冷たいのだ!」
「湯気が出るほどあっつあつにしてどうすんですか猫は猫舌なんですよ飲めませんよ!?」
「ハッ…!そうか、そうだったのだ…!」
「会長、ホントにその猫飼えるんですか…」
「う、うるさいのだ!大丈夫なのだ!」
不安すぎる。
会長のことだから飼い方覚えたら完璧なのかもしれないがしかし、そこにいたるまでに猫をころ…死なせてしまいそうで怖い。
猫のノミを取ろうとして殺虫剤を思いっきり猫に吹きかけるとかしそうで怖い。
いやでもやっぱうらやましいな会長と一緒に住めるとか。なにそれ俺も猫になりたい。
「…じゃ、会長、その猫下ろしてください」
「…………」
「いえ下ろした瞬間に連れて行くとかそういうのホントしないですからね!?」
「……うむ。わかればよろしい」