CL
いまだに疑われている俺はそろそろ泣いてもいいだろうか。
でもわかって欲しいのが俺だって百歩譲ってるってことだ。
学校に猫とか犬とか猿とか亀とか連れて来たらダメだというのは常識であって、見つかった暁には先生にこっぴどく説教喰らうのがオチだ。
で、たぶんまさか会長が連れて来たとかそういうことは絶対にないと思っている先生たちなので、怒られるのは必ずと言っていいほど俺。
生徒会に入って会長と関わるようになってからだいたいそういうオチになっているので、先生たちもたぶん「またお前か!」って感じになると思う。泣きたい。
まあ会長は会長でちゃんと弁解してくれるんだけど先生が信じないから意味がないという。
生徒の言うことを信じられない教師はダメなんだぞ。いい教師にはなれないんだぞ。
とか言ったところで事態がどうこうなるわけではないので黙っておく。
というわけで今回も覚悟を決めて会長に付き合わなければならない俺である。
死んだら天国に直行だと信じたい。
会長は椅子から降りて、黒猫をそっと床に下ろす。
その鼻先に皿を近づけると、黒猫は少し匂いを嗅ぐような仕草をして、牛乳を飲み始めた。
「…おお…!飲んでるのだ、飲んでいるのだ…!」
会長はしゃがみ込んで、黒猫が牛乳を飲む姿を見つめている。
目がキラキラしていてまるで子供みたいだ。
俺はそんな会長を同じようにしゃがみ込んで見つめる。
そうとは知らない会長は、右手を伸ばして黒猫の頭を優しく撫でる。