CL




すると、それさえ今、指摘されて初めて気が付いたようで、アキちゃんは下を見て「きゃっ」と小さな悲鳴を上げて右足を持ち上げた。
よくよく見たら、アキちゃんは裸足だった。
裸足のまま、青い床から逃れるように後退する。
そしたらアキちゃんの足跡が綺麗についてきて、わたしはおかしくて笑った。
そんなわたしに、アキちゃんは恥ずかしいのかムッとしたような顔を向けた。

「もう、ミナミ、笑わないでよ」
「あははっ、ごめんごめん」
「はあ……これどうしよう…」

ため息を漏らしながら、アキちゃんは青くなってしまった床を見つめて肩を落とした。
わたしは筆とパレットを持ってげんなりしているアキちゃんの横に並んで、アキちゃんとは逆にキャンバスを見上げた。

「…ねえ、なに描いてたの?」

見上げたキャンバスは、ただ、一面に真っ青なだけだった。





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