CL
いやでもあれはチューしたっていうよりただ舐められたってだけな気がする!
でも会長的には入るのかカウントされるのかそうなのか!
しくった俺としたことが!
とかなんとか思いつつ内心で頭を抱えていると、会長は俺の肩に顔をうずめて、ぼそっと。
「……チューしろ」
「…………。はい?」
「黒猫とチューしたから、わたしともチュー、しろ……」
命令形だった。
それがまたなんていうか会長らしすぎてあーもうなんだろうねなんなんだろうねこのくっそ可愛い生き物は。
会長が可愛すぎて好きすぎて俺が早死にしたらどう責任とってもらおうか。
なんて考えてしまうくらいには、会長に捕まってる。
でも、できれば会長も同じように思ってほしいので。
しょうがない、ここは捕まえておくか。
絶対離れない程度には。
思いながら、彼女の頬に手を添えて、ゆっくりと顔を持ち上げる。
自分で言ったくせに恥ずかしいのか、その頬はりんごみたいに真っ赤だった。
食べてしまうにはもったいないくらい、甘そうだ。
まあ、美味しくいただきますけどね。
「……いただきます、会長」
「……ど、どうぞ…」
彼女の小さな返答のあと。
いつかのチョコレートの日のように。
俺は彼女の唇を、ぱくっとおいしくいただいた。
【おわり】