CL




簡単に説明をすると、ツキコと俺は年の差はあるものの幼馴染と言えないこともない関係。

ツキコが生まれた時から、家が隣同士の親が仲良くて、それで必然的に一緒に居る時間が長かったのだ。

年の差は7歳ほどあって、ツキコは3歳くらいから常に俺のことを「キイチ兄(にぃ)」とか呼んでいた。今じゃ考えられん。

これは余談だがツキコは機嫌の良し悪しで俺を呼ぶ呼び名が違ったりする。

普通の時は「キイチくん」で、自分が勝ったような状況になると「キイチ」とか呼び捨てにしてくる。

ふざけていると「キイチ兄」。これは俺の方が寒気するから是非ともやめてほしい。

ご機嫌だったり甘えたりするときは何故だか「イチ兄」になる。もはや鳥肌しか出ない。

そんなわかりやすいツキコと会うのは、実に8年ぶりくらいだ。

俺が大学行ったっきりだったはず。

その間にツキコもだいぶ成長していて、だからちょっと妙に緊張するのかもしれない。

勝手に妹分だとか思ってたけど、18歳って、十分大人だ。


「……うっわあ…」


部屋に入ってなんの断りもなしに電気をつけたツキコは、唖然としたような声色でそう言った。


「どんだけ汚いんかなってそれなりに覚悟しちょったんやけど……ここまでとは思わんかった……」

「だから上がって行く気かって聞いたじゃん」

「や、別にいいんやけどね。キイチくんが掃除苦手なん知っちょんし。ってかキイチくん家のおばさんに“ツキちゃん掃除してやってね!”って言われたけん来たっちゅーのもあるんよねえ…」


余計なお世話だ。




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