CL
が、しかし。しかしだ、高校に入って俺に彼女ができたって話を知ったツキコが、ものすごい泣きながら俺の部屋に突撃してきたのだ。
で、その時言われたのが。
『キイチの嘘つき!!あたしと結婚するっち約束したやん!!あたし絶対キイチと結婚するんやけんね!!覚悟しちょけバカ!!』
……とかいう爆弾発言だった。
それからというもの、ツキコからの凄まじいアタックはなんかここで説明するのも億劫なくらいとりあえず凄かった。
え、お前、ホント小学生なの?って割と本気で疑ってしまう程度には凄かった。
まあ、俺が大学に行ってからはまったく疎遠になってしまっては居たが、久しぶりに会ったツキコは、外見が大人っぽくなろうが図々しさに拍車がかかっていようが、やっぱりツキコで。
「やっぱりさ、25歳とかなると、キイチくんも結婚とか考えるやろ?おばさんも“早くいい人連れてきてくれんかねえ、ツキちゃんみたいな”っち言よったし、ここはやっぱあたしが行くしかないやろって思って!」
「……マジかよ……」
「マジですマジです。ってことで、あたし掃除するけんよろしくー」
「何が“よろしく”なのか意味不明なんだけどマジで掃除する気かよお前…」
「だって掃除せんとあたしの居る場所ないやん。あ、キイチくんは手伝わんでいいよ、逆に散らかるけん」
「はあ……」
「隅っこん方で貰ったチョコでも食べよけばいいよ。この天然タラシ」
「いやいやいやいや…」
思いっきり手刀を切る俺など無視で、ツキコは足元にあったいつのかわからないビニール袋を拾う。
それがきっかけとなったのか、ツキコは何かに憑りつかれたかのごとく黙々と掃除をし始めた。