CL
素直に自白したらツキコさんはコンマの単位でガバッと顔を上げた。
もはや残像の粋だったので“これは来るな”と事前に予測して避ける準備をしていなかったら俺の顎は崩壊していた。
三途が近い気がしてならない。
「サイッテー!うわキイチサイッテー!!あたしという想い人が居りながら!!」
「や、違う、あれはホント、事故やけん!大学入って酒に手を出した時に!高校ン時は未遂!」
「はあ!?高校の時もあったん!?そういえば彼女居ったねそういえばそうやったねムッカーッ!!」
「しまった余計なこと言った俺バカ死ねっ!」
「ホント死ね!2回死ね!あたしとか処女は絶対キイチにあげるんだって思って…っ!」
と、そこまで言ってから、ツキコは途端に真っ赤になった。
勢いで自分も余計なこと言ったと思ったんだろう。
たしかに余計だった。素晴らしいほどに余計だった。
7歳分大人である俺もさすがにこれは固まった。
「……ツキコさん、それはマジっすか…」
「う、う、うるさいわキイチバカ黙れッ!」
「…っちゅーか、お前、18歳で処女ってそれ、最近の若い子にしては珍しくない…?」
「なんそれ悪いと!?最近の若い子がみんな経験あるかって言ったらそんなわけないやんアホ!!っちゅーかあたしはふらっとヤったりせんもん!!キイチくんが好きなんに他の人とできるわけないやんかこのおたんこなすッ!!」
おたんこなすって…。
とか、考える余裕ない。
話をズラそうとして最近の若い子事情を会話に出してみたら結局ものすごい爆弾発言されたのでなんかもうムリかもしれない。
そう思ってしまったらもうムリで、俺は真っ赤になってそれでも怒鳴って強気を保とうとするツキコの頭を押さえつけるようにして、自分の胸板に押し付けた。