CL




「……い、いまさら恥ずかしくなってきた…さっき自分で言ったんに…」

「そういえばそうやったね」

「…しょ、処女ってめんどくさいって聞いたことあるんやけど…あ、あたしめんどくさいかもよ…」

「本当に好きやったらそんなん思わんやろ」

「…き、キイチくんは思わんの…?」

「思わん」


誤魔化さず、はっきりと。


「…ツキコの“初めて”が、バレンタインプレゼントってことで欲しい」


なんて、キザなセリフだ。

けれどツキコは、恥ずかしそうに、それ以上に嬉しそうに、クスクスと笑った。


「……バカ」


――そんなん、あげるに決まってるやん。


きっともう、2人の間に距離はない。

会えなかった7年、そして7歳という年の差。

全部埋めるように、2人の間の距離は“0”





end.



< 137 / 192 >

この作品をシェア

pagetop