CL




「……どうして、空を描いたの?」

芸術の才能がずば抜けているアキちゃんは、今までたくさんの絵を描いてきた。
アキちゃんにしか見えない世界を、数えきれないほどキャンバスに生み落としてきた。
わたしにはよくわからない感覚。
何度か、アキちゃんに『こういう絵は、どうやって思いつくの?』って聞いたことがある。
でもアキちゃんはいつも、決まって『なんでだろうね』って言って笑う。
そんな、わたしにはわからない世界を描き出すアキちゃんが、今日はわたしにでも、きっと誰にでもわかるような真っ青な空を描いたんだ。
絶対、なにか理由があるんじゃないかなって、思った。
だから聞いた。
アキちゃんは床に落としていた視線を、青く塗りつぶしたキャンバスへと向けた。
そして、答える。





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