CL




「……あたしも」

「……ん?」

「あたしも、キイチくんがキイチくんでよかったなあ」

「……そこら辺に居るような一般人ですけど」

「あたしにとっては一般人やないし」

「…それはそれは」

「でもそういう人たくさん居るんやろうなあ」

「……そういう人?」

「キイチくんのことが特別な人ー」

「……ないだろ」

「よく言う。バレンタインの時、本命何個貰ってたんだか」

「……まだ言ってんだ?」

「言うよ。だってやっぱり不安になりますしー」

「…なんなくてもいいんだけど」

「あたしはなるの。あーあー…あたしもキイチくんとおんなじ会社に行きたいなあ」

「……それはそれで」

「うん?」

「……俺も不安だわ」

「えーっ」

「…同僚に取られたらムカつくし」

「あははっ。ありえんよー。だってあたし18年間キイチくん一筋やもん」

「……それなら言うけど、こっちこそ」


ゆったりと甘い。

スローな時間の中に混ざる微糖。

それを微糖のまま終わらせるか、極甘の砂糖にするかは、2人次第。

さて、どちらを選ぼうか?




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