CL




「――空が、落ちてきたらどうなるかなって、思ったの」

やっぱり、わたしにはアキちゃんがわからない。

「空は落ちないよ」
「わかんないよ?もしかしたら、落ちてくるかも」
「やだ、怖い」
「うん、わたしも怖い」

無意識に表情を歪ませて“怖い”と言ったわたしに、アキちゃんはケロッとした顔でうなずいた。

「…だって、空が落ちてきたら、世界の終わりだもんね」

静かにそう呟き、アキちゃんは目を細めて、青を見つめる。
キャンバスの青がその白い肌に反射して、アキちゃんが青いキャンバスに吸い込まれていってしまうんじゃないかと、怖くなる。
ごく自然に伸びたわたしの左手は、隣に在るはずのぬくもりを探した。
すぐに見つけた体温を、迷わず掴む。
青に呑み込まれそうなアキちゃんを、ぎゅっと掴んで寄り添った。
そしたら、アキちゃんはわたしを見下ろして、笑った。





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