CL
「どしたのミナミ。甘えん坊タイム?」
「…アキちゃんが」
「うん、わたしが?」
「……世界の終り、とか言うから」
本当は、“青に呑み込まれそうだったから”って、言いたかったけど、どうしても言えなかった。
言ってしまって、「ミナミは面白い事言うね~」なんて笑われたら、終わりだって思ったから。
そうやって笑って、誤魔化して、アキちゃんは青い世界に消えてしまう。
アキちゃんはきっと、わたしに全部見せてくれない。
アキちゃんはいつも、ひとりだ。
そんなことないのに。
わたしがいつも、傍に居るのに。
そう、気づいて欲しくて、掴んだアキちゃんの右腕に額を擦りつけて擦り寄る。
アキちゃんはまた笑う。今度はくすくすと笑った。
空いている方の左手を伸ばして、くっつくわたしの頭をよしよしと撫でた。
「ミナミってば甘えん坊~。怖かったの?」
「……知らなーい」
「あははっ。そんな拗ねないで、顔上げて」
ほらほらと促され、わたしは拗ねた表情のまま顔を上げる。
するとアキちゃんは、顔を上げたわたしの前髪をかき上げて、現れた額に“ちゅっ”とキスをした。