CL
気が付くと、僕は交差点の真ん中に立っている。
目の前に車があって、瞬間、死ぬと思って目を瞑るんだけど、でも車は動かない。
よく見ると、周りには車や自転車が乱雑に放置されていて、チラシが足元に散らばって、風もなければ、音もない。
そして何より、人が居ない。
空はない。
ただ、ただ白黒の世界が一面に広がっている、世界。
例えるなら。
「――世界の終り、みたいな世界、なんです」
そう、世界の終り。
地球から、生命が消えた世界。
けれど僕は、それが怖いとは思えなかった。
むしろ、僕にとってはそれが、当然のことのように思えたのだ。
キシッと、ベッドが少しだけ軋む。
先生が腰を下ろしたのだと、見なくてもわかった。