CL
「…リナ姉」
「……ごめ、ユウくんっ…」
「…いいから」
「ごめん、ごめんねっ…」
わたしは狂ったように、何度も、何度も謝った。
違うのに。本当は、嫌なんかじゃないのに。
本当は、もっと、触れてほしいのに。
どこまでも、わたしはひとり、闇に落ちていく。
「……たとえば、」
不意に、静かな声色で、彼は言った。
「…今日、世界が終るとしたら」
唐突に何を言い出すのかと思い、わたしは目を覆っていた両手をゆっくりと下ろした。
上目に見た彼は、わたしではなく、わたしの後ろにある何かを見つめていた。
その視線を追うように振り返れば、埃を被った本の間に、小さな本が挟まっていた。
タイトルは、『たとえば、今日世界が終るとしたら』
「……どうする」