CL




なんだか、余計なことを考えてしまったら、不意にお金の心配すらしてしまうようになったあたしの思考。

あと、やっぱり、太るかも、なんて。

っていうか、さっきのはウザかったかもしれない。とか。

もう16年間も一緒に居るんだし、お互い面倒なところもウザイところもわかりきってるけど、でもやっぱり、気になるし。

徐々に俯き加減になっていくあたしは、けれどその時、頭に乗った何かに反射的に顔を上げた。

乗っていたのは、さっきあたしの手を握った、ナオの手だった。


「ハナが何考えよるんか知らんけど、別に気にせんでいいけん」

「…なんそれ…」

「どうせ金の心配とか太ることとか気にしよんのやろ」

「なっ、違…っ!」

「金が気になるんやったら、今度ハナがケーキ買ってくれたらチャラやし」

「チャラって…」

「んでもし太ったら痩せればいいやん。ひとりがキツイなら俺も付き合うし、ダイエット」

「…太らんしバカ」

「なら気にすることないやん?おっちゃんのケーキ美味いし」

「それはそうやけど!」

「あとハナがケーキ食べよん時の顔、好きなんよね、俺」


さらっと言って、ナオはあたしを見た。その表情は、“言ってやったり”

ドキンとした。脈拍の正常なんてあったもんじゃない。




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