CL
→After Story
あたしの幼馴染はバカだ。
いや、勉強はあたしより出来るし、会話の展開も上手くてこれはペテン師になれるなってくらいには頭いいんだけど。
でも、あたしにとってそれはプラスになんてならない。
いくらアイツが学年トップクラスの学力を持っていようと、いくらアイツが喋り上手くてテレビのトークショーにでも出れそうなくらいには面白い会話ができようと、あたしには関係ない。
だからもう一度言う。
あたしの幼馴染はバカだ。
「ハナー」
「…………」
「ハナちゃーん」
「…………」
「ハーナーちゃーん」
「…………」
後ろから何度も名前を呼ばれる。
普段ならあたしは、幼馴染兼彼氏のナオがあたしの名前を呼んだあとコンマ単位で振り向くはずだ。
っていうか、まず振り向かないなんてありえない。
そんな選択肢あたしの中にはこれっぽっちもなかった。
だけど今日は、例外。振り向かない。
何度ナオがあたしの名前を呼ぼうとも、ぜっっっったいに振り向いてなんかやらない。
だって絶対、ナオが悪い!