CL
「……ハナ」
「はっ、ははは、はいィッ!?」
やっと名前を呼んでくれたナオに慌てて、あたしはとにかくもう考える余裕もなく顔を上げた、
……ら。
ちゅっ、と。
軽く、ホント軽くだけど。
あたしの唇に、やわらかい感触があった。
…………。え?
脳内は一瞬にして停止した。
唖然とする、っていう表現が正しいかもしれない。
あたしの目と鼻の先には、ナオの顔。
さっき唇に触れた、感触。
……もしかして。
「……き、キス、した?」
「……した」
「え、え、う、うそっ、わ、わかんなかった…!」
本当に一瞬のことで、けれどキスをしたっていう事実は間違いなくて。
あたしは極度に速くなる鼓動と熱くなる顔をどうすることもできなかった。
自分で言っておいたくせにあたふたとするあたし。
を、見ていたナオは、何かの糸がプツンと途切れたように、うなだれるような感じであたしの額に自分の額をくっつけた。