CL




「だ、誰のせいで残業してると思ってんのよ!今日、いきなり、あんなこと言われて、私どうしていいかわかんないじゃん!」


気が付けば私は、今までの我慢を吐き出すように叫んでいて。


「あんたなんか絶対好きになんてならないしっ、に、苦手なんだからっ、絶対ありえないって、思ってたのに、なんで簡単に踏み込んでくんのよっ、なんで私、あんたのことばっか考えて、こんな振り回されなきゃなんないのよっ…!」


もう、意味わかんない。

そう言い切った私は、いつの間にかまた泣いていた。

悔しいし、情けない。黒崎の前でこんなみっともない姿を見せるなんて、自分が惨めすぎて。

私の方が年上なのに。私の方が子供みたいだ。

俯いて涙を拭う。化粧なんてあったもんじゃない。

涙を拭う私の手を、向かいから伸びてきた手が掴む。その手の指は、私の手首に容易く回った。長い指。綺麗な手。黒崎の手。


「…先輩、顔、上げてください」

「……イヤ」

「じゃあそのままでいいです、聞いてください」

「……なによ」

「すいません、俺今、最高に嬉しいんですよね」

「……はあ?」





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