CL




だけどもう、私の心臓は壊れそうなほどに鼓動を響かせてる。息ができないくらい、ドキドキしてる。

黒崎が掴んでいる手首が熱い。こんな感覚初めて。

呼吸困難になってしまいそう。

ドキドキのせいで、世界が廻る。

廻る中心には、彼が居る。


「――先輩、ホントは最高に、俺のこと好きでしょ」


こんなに“恋”を実感したのは、黒崎が、初めて。


――あぁ、もう、ほら。

心の奥底に隠してた、ホントの気持ちが溢れ出す。

だから言ったのに。これ以上、踏み込んでこないでって。

心の鍵を開けられたら最後、私に嘘なんてつけないんだから。


私はもう、紅潮する顔を、顎を引いて僅かに隠すのが精一杯で。

空いている方の手の甲で、自分の口元をどうにか隠したら、もう動けなくなってしまった。


「……も、ホント、ありえない、バカ、死ね」

「先輩って、照れると毒舌になるんですね」

「うるさいっ、もうっ、こっち見ないでっ」

「照れるってことは、俺のこと好きって受け取りますけど」

「……そ、そうなんじゃないのっ」

「じゃ、俺の勝ちってことで」





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